天使にショパンの歌声を

2017年1/14(土)角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国公開

少女が奏でたのは、未来の音色。

カナダ・ケベックの小さな音楽学校に、突然訪れた廃校の危機。 音楽の力を信じて、いま彼女たちの心は一つになる

Introduction

繊細かつ温かな人間ドラマの名手として知られ、カナダ映画界を支えてきた女性監督、レア・プール。その多彩なフィルモグラフィーで、国内外の数々の栄誉ある賞に輝いている。代表作となる、思春期の少女たちの愛と情熱に迫った『翼をください』、神秘の蝶と少年の奇跡の実話を映画化した『天国の青い蝶』は、日本でもスマッシュヒットを記録した。

長編映画監督デビューから35年となる2015年、映像作家として円熟期を迎えたレア・プールの最新作にして集大成が完成した。国をあげて近代化が推進された1960年代のカナダ・ケベックを舞台に、閉鎖に追い込まれた音楽学校を救おうと奮闘する女性教師と生徒たちの物語だ。

女性の権利や自由、社会進出はまだまだ認められていなかったこの時代に、音楽の力を信じて、古い考え方や大きな権力に立ち向かう女性たちの生き方が深い共感を呼び、カナダのケベック映画賞で作品賞を含む最多6部門を受賞する。さらに、自ら人生を切り開くという、現代にも通じる普遍的なテーマが絶賛され、アジア、アメリカ、ヨーロッパ各国の映画祭でも拍車喝采に包まれた。国境を越えて熱く支持され続けている音楽エンターテイメントが、遂に日本にもやって来る。

 

ケベックの広大な地にポツンと佇む小さな寄宿学校。そこは音楽教育に力を入れる名門女子校だったが、修道院による運営が財政難に陥り、閉鎖の危機に直面する。校長のオーギュスティーヌは音楽の力で世論を味方につけようと、音楽イベントの開催を計画する。そんな中、校長の姪のアリスが転校してくる。彼女にピアニストとしての天性の才能を見出した校長は、学校存続の鍵になると期待するが、孤独で心を閉ざしたアリスは、誰の言うことも聞かない問題児だった。様々な困難を乗り越えて、イベントの日を迎えるのだが──。

 オーギュスティーヌには、『愛の叫び ~運命の100日』のセリーヌ・ボニアー。カナダでは、TVシリーズ、映画、舞台と幅広く活躍している演技派女優で、カナダのアカデミー賞にあたるジニー賞に3度ノミネートされている。アリスには、モントリオール音楽院に在学中のライサンダー・メナード。5歳からピアノを始め、数々のコンテストで優勝を飾り、2012年にはカナダを代表する未来の音楽家30人の1人に選ばれた新進気鋭のピアニストで、心の奥底まで届く、喜怒哀楽の感情を見事に表現した演奏で魅了する。

 冬は白銀のベールに包まれ、春の訪れと共に鮮やかな緑へと変わっていくカナダの美しく豊かな自然を背景に、全編にわたって流れるのは、ショパン、モーツァルト、ベートーヴェン、リストなど偉大な作曲家によるクラシックの名曲の数々。そこへ少女たちが弾く汚れなきピアノ、天使のごとき歌声、胸躍るダンス、愛らしい制服に絵本から出て来たような校舎や教室が、麗しいアンサンブルを奏でていく。

どうにもならない運命に時には涙しながらも、強く、たくましく、明るく、何より自分らしく生きようとした女性たち。彼女たちが音楽の力で未来の扉を開く姿に、笑顔と元気をもらえる希望の物語。

Story

 カナダのケベックの小さな寄宿学校。修道院が経営するこの学校では、今日も少女たちの澄んだ歌声が響き渡っている。校長のオーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)が音楽教育に力を入れているためで、前回のピアノコンクールでは念願の銀メダルを獲得していた。

だが、そんな名門校が今、存続の危機に瀕している。近代化を進める政府の後押しを得て公立学校が増加し、転校する生徒が相次いだために経営が苦しくなってしまったのだ。体制を見直し始めた修道院の総長は、採算の合わない学校から閉鎖しようと考えていた。音楽会のチケット代にピアノ購入費と出費のかさむオーギュスティーヌの学校が、真っ先にそのやり玉にあげられているのだ。

そんななか、オーギュスティーヌの姪のアリス(ライサンダー・メナード)が転校してくる。オーギュスティーヌはアリスに天性のピアニストの才能を見出して期待するが、両親に見放されたと思い込んでいるアリスは、傷ついた心を固く閉ざしていた。

総長から音楽をやめて代わりに良妻賢母になるための教育の実施を強いられたオーギュスティーヌは、「高い理想を持てと生徒たちに言っています」と毅然と拒絶し、帰校するとシスターたちに「あきらめないわ、闘うのよ」と宣言する。いつもは貞淑なシスターたちも、自分たちの愛する場所を守らなければという熱い想いに燃えていた。 支援してくれる保護者の協力を得て、まずはマスコミ作戦を計画するシスターたち。学校で音楽イベントを開いて記者たちを招待し、最高の演奏を聞かせることで音楽教育の素晴らしさを訴え、世論を動かすのだ。

ところが大切なイベントの前夜、クラスメイトをかばって学校で一番頑固なシスターとぶつかったアリスは怒りのあまり無断外出をしてしまう。恋におちた男の子と踊っているところを、オーギュスティーヌに無理矢理連れ戻されるのだった。

翌朝、アリスはイベントへの出演を拒否するが、オーギュスティーヌの真意を知って、少しずつ心を開き始める。アリスの素晴らしい演奏も効果を奏して、イベントは大成功をおさめ、翌朝の新聞にも大きく取り上げられる。

世間が注目するなか、コンクールで金メダルを獲得すれば、廃校は免れるはず──今やシスターと生徒たちの心はひとつ、1番のメダル候補はやはりアリスだ。全校あげてのレッスンが始まったその時、オーギュスティーヌのもとに、アリスの母親が倒れたという報せが届く──。

Cast and Staff


舞台、TV、映画において才能が広く認められ、『Les muses orphelines(原題)』と『Tectonic Plates(原題)』ではジニー賞にノミネート。その後、クリスチャン・ドゥゲイ監督のスリラー『アサインメント』(97)に出演。2003年にはピエール・フール監督作『Monica la mitraille(原題)』で魅力的なモニカ役を演じ、ジュトラ賞とジニー賞の2つにノミネートされた。また、『愛の叫び ~運命の100日~』(06・未)での演技で高い評価を受け、『Délivrez-moi(原題)』で2007年にジュトラ賞最優秀女優賞他数々の映画賞を受賞。その後、キム・グエン監督作『Truffe(原題)』、レア・プール監督作『Maman est chez le coiffeur(原題)』他多数出演している。

5歳からピアノを習い始め、本格的にピアニストを目指してモントリオール音楽院に入学。NYのインターナショナル・クレシェンド・コンペティションにて優勝し、カーネギーホールで3度演奏した。9年連続カナダ音楽コンテストのファイナリストとなった他、2012年には“カナダを代表する未来の音楽家30人”のうち1人に選ばれた。ライサンダーは、カナダ~ヨーロッパを転々とした演奏生活を送り、20代で多くのリサイタルやコンクールに参加し、高い評価を得る。本作が女優として長編映画デビューとなる。

TVシリーズ「Grand-papa」で注目を浴び、TVや舞台を中心に活動。映画『Maurice Richard(原題)』ではアリス・ノーチェット役を演じ、ジュスタ賞の最優秀助演女優賞にノミネートされた。

1990年、カナダ国立演劇学校を卒業後、舞台を中心に活躍。ドミニク・マイケル監督作「Le démon de midi」ではソロ・パフォーマンスを見せ、2004年にリベレーション・プライズ・フォー・ジャスト・フォー・ラフを受賞。自分自身を演じたTVシリーズ「Tout sur moi」での演技により、2009年にジェモ賞を受賞した。映画では『セックス依存症だった私へ』(18・未)や、2014年公開の『La gang des hors-la-loi(原題)』などの映画にも出演している。

ドゥニ・フィリアトロール監督による舞台や、映画『おとぎの国のアリス~あなたに贈るグリム童話』(02・未)、そして「病は気から」を含むモリーエル原作の戯曲など、多数の舞台で活躍。最近では、ベルリン国際映画祭に出品されたドゥニ・コーテ監督の最新作『ヴィクとフロ 熊に会う』(14)に出演、ジュトラ賞女優賞を2014年に受賞。2011年にメンバー・ランクのカナダ勲章を授与された。

ケベックにある俳優養成学校École Mode é Artoを卒業。短編映画やCM出演を経て、TVオーディション番組「L’Heure de Gloire」で選出され、注目を浴びる。2008年に舞台「アニー」の主演に抜擢。本作で長編映画デビューを飾った。

1979年、長編初監督作『Strass Café(原題)』でキャリアをスタート。その後、『愛の瞬間(とき)』(90)、そしてジニー賞8部門にノミネートされた『Mouvements du désir(原題)』(93)、ベルリン国際映画祭キリスト教徒審査員賞他多くの賞を受賞した『Emporte-moi(原題)』(98)、そして数々の映画祭で上映された『翼をください』で次々と成功を収める。ウィリアム・ハート主演の『天国の青い蝶』(04)では、家族をテーマにしたドラマに初めて挑戦。『Maman est chez le coiffeur(原題)』(08)では、セリーヌ・ボニアーを主演に迎えている。また、ジェミニ賞で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した「Gabrielle Roy」など、TVドキュメンタリー制作にも力を注いでいる。現在、母親受刑者とその子供の現実を追った長編ドキュメンタリー『Double Sentence(原題)』の撮影を終え、カナダ人作家Sophie Bienvenu原作「ET AU PIRE ON SE MARIERA(原題)」の映画化を2017年に控えている。

Music


ショパン:別れの曲

リスト:愛の夢 第3番

バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻~第2曲 ハ短調

バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調
(以上 ピアノ:ライサンダー・メナード)


ショパン/ジャン・ロワゼル:悲しみ(別れの曲)
(歌:エリザベス・トレンブレイ=ギャニオン、ピアノ:ライサンダー・メナード)


モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス

ヴィヴァルディ:グローリア ニ長調

ドビュッシー:家なき子たちのクリスマス

フォーレ:レクイエム~「楽園へ」

パーセル:ディドとエネアス~「ディドの嘆き」


モーツァルト:幻想曲 ハ短調

ハイドン:ピアノ・ソナタ第35番 ハ長調

メンデルスゾーン:無言歌集~第2曲 嬰ヘ短調

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調